作り終えて
はじめに
オリジナルメカデザインの宇宙船、「ひかり」の製作記事です。製作開始は検討用の模型が2006年5月13日、原型製作開始が6月14日あたり。両方とも船体中央に3個ある居住ブロックから作りはじめてます。
4月30日にオーニソプターを完成させましたが、スタイロフォームやプラ板が少し余りました。それらを使って、昔から落書きしてた宇宙船を立体化してみようと思い立ったのが5月初め。5日にデザインがまとまり、13日頃から本当にこの絵が立体化できるのかどうか、試しに1隻作ってみる事にしました。案の定作りながら変わっていきましたが、1週間後にはそこそこ良さそうなのが完成。
その後6月中にWHF神戸24の参加が決定。7月30日の開催に向け、最低5セットを用意するため作業に入りました。
外観の元ネタは、船首が猛禽類のくちばし、全体がエビ、後部はカニだったりします。ほとんどその面影はないかもしれませんが。
設定
- 全長:435m
- 幅:235.5m
- 機関:対消滅反応炉2基
- 推進機(超光速):空間界面制御板2基4枚
- 推進機(亜光速):航行用重力制御機2基
- 工作機器:重力波レーザー1基、船首工作所1棟
- 兵装:船首及び船尾高強度レーザー各1基
- 計測器:重力波兼超空間探査パドル8基、4m多波長望遠鏡1基、他
22世紀半ばに作られた超光速宇宙船。日本が作った大型のもので、「ひかり」と名が付く三代目の超光速飛翔体。多用途支援型ということで木星系の開発拠点として使われたり、反物質変換器「プロメテウス」の運搬に使われたりした後、宇宙島「新大島」の建造とラランド21185星系への運搬を行い、その後は新大島所属の宇宙船として使用された――、という感じ。
推進方式は、今使われている化学ロケットや電気推進、核分裂や核融合パルス推進等と違う、非反動推進型。モノを吹き出すノズルが無いという事です。スタートレックのエンタープライズ号だと後部に2本、ワープエンジン(ワープナセル)がついてますけど、あれはサターンⅤや日本のH-ⅡA、Μ-Ⅴ等のようなノズルが付いてません。あんな感じです。ちなみにエンタープライズの第1船体後部にはインパルスエンジンのノズルがあったりします。
船体尾部にノズルがあると、加速しているときに(というか動いているとき)そこが光っていれば、いかにも動いてますという印象を与えられるし、船体の前後もはっきり区別できます。ノズルがあるほうが判りやすくていいかもしれません。ということを考えつつも今回はそういうのを一切無くした次第です。
なんだかんだで兵装もあるけど、現在の水上艦艇のような回転砲塔は付けてません。付けると、それがスケールの目安になり、大きさの見当を付けやすくなるかも……、という事は考えましたけど、世界観にあいそうにないので止めました。どこに砲口があるかもちょっと判らないです。私自身考えてなかったりするし。
海上保安庁の巡視船と調査船とタグボートと応急修理が出来るような工作所を合体した、という感じです。
WHF神戸24の会場では「何の作品に出てくるやつですか」とお二人から聞かれましたが、世界設定なども全部オリジナルです。この船の基本設計と重力制御技術は、40代の胡桃沢すみれが行っています。
重力波レーザーとかは質問禁止。レーザーは確かに光なわけですけど、重力子(重力波)も光子(光波)も質量0のゲージ粒子だしコヒーレントな重力波というのがあってもいいんじゃないか(でもそれは一体どんななんだろう)とか、原子レーザーなんて言葉もあるしなーとか、その辺はそんなもんだということで軽く流してください。『さよならジュピター』にも重力波レーザーってな単語が出てきたりしますね。他のSF作品でも使われてるのかな。
設定の諸元で、質量が書いてないのは……、判らなかったからです。なにを設定してどう計算すりゃいいんでしょうね。
製作方針
ガレージキットとして販売するため、原型をプラ板などで作った後、シリコン樹脂を使って型をとり、それに無発泡ウレタン樹脂を流して複製をとります。完成品は複製の部品という事になります。
部品の分割ですが、購入者ができるだけ作りやすいように部品点数を抑える方向で考えました。逆テーパーがあろうとなるべく大きな塊で型をとり、部品一つで型一つ作るようにしてます。
大きさは30cm程度。このくらいが持っていて満足感が大きいのではと思ったためです。そこから考えて縮尺は1/1500とし、完成品を計測して全長435mと出した次第。1/700だと210m程度。確かにこれでも大きいんですけど、超光速で恒星間を行き来する物体としては小さいかなと思い、1/1500にしてみました。1/1400でもよかったんですけど、その辺は「1500」の方がすっきりしてていいかなと思いまして。でも1/1500だと、並べて飾れる模型があまりないですね……。並べてもしょうがないといえばそうなんですけど。
展示の仕方は、横にして展示できるほか、縦にもできるようにしてみました。横のものを縦にすると、それまでと違った新鮮な雰囲気に見えることがあります。この宇宙船も縦にすることで、現在使われているような、また昔のSF小説のイラストにあったロケットみたいな感じが少しして面白いかも、と思ったのでした。
宇宙船のデザインについては、昔雑誌『STARLOG』で張仁誠さんが解説してた記憶があります。あれ良かった記憶があるんですけど、20年以上前の話なのでよく覚えていなかったり……。その時使われていた画像が、ジェノイド・プロトデザインのWORKS→イラストレーションのSF ART→左の2枚だったと思います。タワーノートという名前なのかな。また読みたいです。