FRP型製作

FRP型を製作します。ポリエステル樹脂とガラスクロスの組み合わせです。前回は石膏型を作りましたが、安価だけど型自体が重く場所もとるので、今回はFRP型にした次第です。

用意したのは以下のとおり。

FRPに使う繊維として、繊維を縦横に織っているガラスクロスを使用。不織布状のガラスマットの方が若干安く、曲面にも馴染むみたいですけど、ガラスクロスは使ったことがないので今回使ってみた次第です。ガラスマットを使ってたときは細かい繊維が辺りに飛び散ってかなり痒い目にあってたので、ガラスクロスならそういうこともないかなと思ったんですが、飛び散るときは飛び散りますね……。飛び散ったら粘着テープでくっつけて除去するのが良さそうです。

型を作るときも、そこから成型品を作るときも、基本的には1層目として樹脂のみを薄く塗り、2層目から繊維を樹脂で貼りこんでいきます。樹脂はそのままだと粘度が低いので、タルクなどの粉を入れて粘度をあげます。粘度の具合は昔マヨネーズくらいと教わりましたが、今回のはもうちょっと粘度低いです。繊維を貼りこむのに使うハケ等は、アセトンで洗います。

1層目はより固い表面処理用樹脂「ゲルコート樹脂」が使われますが、今回はせいぜい4、5個も成形すればOKなので、全部普通のポリエステル樹脂を使います。というか金がないのが一番の理由なんですが……。

ポリ樹脂やアセトンなど有機溶剤だらけなので、換気は特に注意します。またガラス繊維を扱うので手袋、防塵(防毒)マスク、服装など準備を調えたうえで作業に入ります。素手でガラスマットをむしって作業したこともあるけど、後で手がとても痒くなります。

塗装ブースというか換気扇。ここにポリエステル樹脂を入れた紙コップなどを置いてます。

左が紙コップで右がポリエステル樹脂の硬化剤。手前の白い布のようなものがガラスクロス。真ん中はガラスビンで、口の部分にシールテープを巻いてます。中には一度使ったアセトンを入れてます。

紙コップにアセトンを入れてハケを洗いますが、しばらくすると樹脂の成分(?)が沈殿するので上澄みだけ分けて再使用してます。

ということで型作り。上下2分割の型を作りました。

まずは場所を用意。昔の定番スキャナ、エプソンGT-6500の箱を斜めに切りゴミ袋を被せたところで作業を行いました。GT-6500はWINもARTも付いてない最初のやつです。本体12万円にMac用I/F(プルピッチのSCSIコネクタ)を付けてX68030で使ってました。I/Fは別売りで、パラレル端子接続(シリアルだったっけ?)やGP-IB接続のI/Fがあったような覚えが。

型は上下2分割にします。粘土原型だと割り金で分割しますが、これには段ボールと粘土を使ってます。段ボールを原型より少し大きめに切り抜き、FRPがくっつかないようにガムテープを全体に貼って原型に通し、隙間を粘土で埋めました。全体にPVC(水溶性ポリビニルアルコール)を塗って乾燥したら、タルクを混ぜて粘度を上げたポリ樹脂に硬化剤を入れ、ハケで塗ります。冬なので硬化剤は多めに入れたつもりでしたが、なかなか硬化せず、ドライヤーを使って硬化を早めてます。

爪楊枝で突き、跡が少し残る程度に硬化したところで、ガラスクロスを張り込みました。1層目の硬化待ちの間に、ガラスクロスを適当な大きさに万能バサミで切ってます。

硬化剤を入れたゲルをさっと塗ってガラスクロスを置き、ハケを垂直に叩いて空気を追い出し樹脂をクロスに染み込ませます。直角の角などにはガラスクロスやマットが馴染まずに空気が入り込んだりするので、そういう箇所にはガラスクロスやマットを刻んで短い繊維にしたものをゲルに浸し、角に充填します。空気が入ると強度が落ちてしまうのでした。ガラスクロスは4、5層程度重ねました。

片面が硬化したところでひっくり返し、段ボールと粘土を外します。型からはみ出している部分(フランジ)にワックスを塗りこみ、全体にPVCを塗って乾かし、反対側の型を作ります。

フランジに塗り込んだワックスですが、とりあえずボンリースワックスを数回塗りこんだものの、面倒になったので、シリコーン型製作によく使われるリンレイのワックスブルーを筆で塗りたくり、拭いておきました。

1日置いて剥がしたところ。マイナスドライバをフランジの接合面に挿し込んで少しづつ開けましたが、割と簡単に外れてくれました。原型に塗ったPVCが型にうつってますが、これは水で落としました。落としたら原型と同じく離型処理としてボンリースワックスをまた数回塗って磨いておきます。

型がぐらつかないように、ポリパテを盛ってポリプロピレン製の板に載せ、土台を作ってるところ。

FRP成形

離型処理が終わったら、FRPで成型品を作ります。基本的にFRP型を作るのと手順は同じ。写真のは1層目のポリ樹脂を塗ったところです。また表面をやするので少々厚めに塗りましたが、もうちょい薄くてもよかったような気が。

ガラスクロスを貼りこんだところ。上下の型、2ついっぺんに作業を行ってます。夏だと硬化が早いのでこうはいかないかも。室温を調整すればいいんでしょうけど、換気しながらだとなかなかうまくいかないので。

1日置いて型から外します。うまく外れてくれました。

余計な部分を切り、キャノピーの部分を切りはずします。エッチング鋸でスジ彫りを少し深くしたあとPカッターで削っていき、一部に穴があいたらデザインナイフの柄に装着できる小さな鋸を挿し込んで切っていきました。

上下を接着します。FRPの接着にはFRPを。

ガムテープで押さえ、隙間を塞ぎます。ポリ樹脂+タルク+硬化剤にガラスクロスを刻んだ物を入れ(ゲルチョップと言ってたり)、キャノピーの穴から割り箸を使って上下の接合面に貼っていきます。