はじめに

一旦修理したメカニカルキーボードをさらに改造しました。その時の記録です。

2012年12月28日に修理を終え久々に使い始めたキーボードSMK-8851でしたが、どうしても引っかかるキーがいくつかあり、気になって仕方ありません。

キースイッチはALPSっぽい偽物。替えがあればスイッチを取り替えるところですが、お金がないのでどうしようもできません。仮にあったとしてもALPS製のキースイッチってどこかで販売しているんでしょうか。チェリーのスイッチなら見つかるのですが。

というところでふと気がついたのですが、昔使っていたX68000のキーボードはALPSスイッチだったということ。調べてみると確かにそのようでした。

ということで29日から年をまたいで2013年1月1日まで作業を行ない、キースイッチをX68000のものに総取り替えしました。キートップもできるだけX68000のに換えてみました。

改造

上が修理して106キーボードになったSMK-8851。下がもらい物のX68000EXPERT付属のキーボード DSETK0022CE02 です。裏には型番と共に、「CZ-602、CZ-612C専用」とあります。

1989年に発売されたX68000EXPERT(CZ-602C)及びX68000EXPERT-HD(CZ-612C)専用ということですので、20年以上前の製品ですね。PCにはもちろんそのままでは繋げられません。

まずはX68000のキーボードを分解。ネジを外してプラスチックのカバーを外し、基板を取り出します。カバーを外すとき、爪を一箇所壊してしまいました……。

基板には「ALPS 12KC687B」という番号が見えます。

針金でキートップ外し用工具を作り、キートップを全部外しました。軸の色が3種類あります。

  • 黄軸:94個
  • 緑軸:7個(緑色LED付き2個、赤色LED付き5個)
  • 緑の細い軸:10個(全てファンクションキー用)
  • 白軸:2個
  • 計:113個

黄色と緑のは押してみても違いがよくわかりませんでしたが、白い軸のは押すのに(他のより)力がいります。

右上のスイッチがない箇所は、使い回せるかどうか事前に外したものです。3箇所とも黄軸でした。

黄軸の様子。写真のだと軸の下に四角い穴があり、LEDを仕込めそうな感じになっています。

裏側。「alps」の刻印入り。筆記体で「alps」と書いているように見えます。違ってたらすいません。

軸はスイッチの真ん中から出てますが、端子は下から2本出てます。キーボードの基板にはこの向きで取り付けます。

SMC-8851は逆に端子が上の状態で取り付けるようになってました。

緑軸の様子。赤色のLEDが付いているものです。

ファンクションキーには軸の色は緑ですが、軸やスイッチの形が他のより細く長方形になっているものが使われていました。

裏側。(たぶん)LED用の端子が出ているので、折り曲げておきました。基板とスイッチの間には隙間があるので、この程度で十分です。

左がX68000キーボードのスイッチ、右がSMK-8851についていたスイッチです。

何個かSMC-8851の基板に移植して問題がないことを確認しましたが、問題なのがファンクションキーに使われている細長いスイッチ。一応、SMK-8851の鉄板に刺さることは刺さりますが、縦方向がないのでぐらつきます。これでは使えません。

X68000のキーボードスイッチは113個。そのうち10個が使えないとなると、残り103個。SMK-8851は109キー(現在は106個)。足りない分はどうしよう。

X68030はまだ生きてますが、これのみで使うことはもうありません。そのため、テンキー部や一部の機能キーあたりならなくても大丈夫です。

とはいえできればまだバラしたくないなあということで、テンキーの一部にはスイッチを移植しないことにしました。数字、ピリオド、NumLockキー部分には移植し、エンターキーと四則演算部分は省略します。両WinキーとAppキー計3個分も使わないので、これで必要なキーは101個。

使えるキーが2個余るので、テンキー部のマイナスとプラスあたりに使おうかと思いましたが、余るなら余るでいいやと言うことでこのまま続行しました。

SMK-8851とX68000キーボードのスイッチを外し、移植したところです。

固めの白軸はInsertキーとNumLockキーに使用。

端子のハンダをとるのに、最初は持っていたハンダ吸い取り線を使ってましたが、キーボード2台分は無理そうな感じだったので買い出しに行きました。100均で買ったような記憶があったのでダイソーに行ったところ、吸い取り線はありませんでしたが210円の吸い取り器を発見。試しに購入してみました。

このポンプ式のハンダ吸い取り器がよく壊れます……。壊れてもバラして(六角レンチが必要)調整して組み立てればいいのですが、2、3回に1回はバラしてたような。1000円くらいのでもすぐ壊れるとか聞きますし、この値段で且つバラせば(今のところは)なんとかなるだけでもマシなのかもしれませんが。

12月29日と30日はハンダ取り作業ばかりやってたような気がします。

ハンダをとる前に、キートップの洗濯をしています。網に入れてバケツに入れ、ぬるま湯+風呂洗い用の中性洗剤で手洗い。ゆすいで水を切った後、タオルの上に並べてエアコンの風が当たるところに放置。ハンダ取り作業の間に乾かしてました。

左がX68000、右がSMK-8851のエンターキー。X68000は二色成型で作られているので、文字などが消えることがありません。SMK-8851のは印刷してあるだけなのか、消えているキーもいくつかあります。

このためできればX68000のキートップを使い回したいところですが、形状が違うキーがいくつかあります。エンターキーやShiftキーなど、下にはみ出た部分があるものは切り飛ばすことで対応させました。ファンクションキーとスペースキーは形状や長さが違うのでSMK-8851のを使ってます。

キートップをはめ込んで様子を見ているところ。エンターキーは下のはみ出ている箇所を切ったものの、右側がカバーにひっかかります。

カバー自体を少し切って、エンターキーがうまく打てるようにしました。本来右コントロールキーが来るところにはX68000のカーソルキー下にあるオプションキーをつけてます。

X68000のキートップはパチンと音がするまで押し込みます。

キーボード左側。TABやシフトキーはそのまま使ってます。コントロールキーは左のみ少し切りました。

X68000の日本語処理に使うXF1~XF5キーは、Altや無変換、変換キーなどに置き換え、すべて使うようにしてます。

人差し指をおくFとJのキートップには、すぐ判るように突起部がありますが(無いものもあるのかな)、X68000のは凹み具合が他のキーより強めにへこんでおり、指を奥おくとすぐわかるようになっています。

PrintScreenからPauseキー、NumLockキーはSMK-8851のを使い回しています。

PageUP、PageDownの箇所は、ROLLUP、ROLLDOWNになってますが、この辺は気にしないと言うことで。

INSとDEL、ROLLUPとROLLDOWNは、X68000では横に並んでいたので、キートップの形状が同じです。そのため縦に並べると高さが少しおかしいことになりますが、高さがおかしいのはここくらいなので気にしないことにします。

テンキー部。

0キーが他の数字キーと同じです。X68000キーボードでは0の隣にカンマ、ピリオドが並びましたが、109キーボードでは0キーが2個分の長さがあり、隣はカンマが無くピリオドになります。

最初はSMK-8851に付いてた横長の0キートップを付けてましたが、X68000のキートップが黒、SMK-8851がベージュと色違いになり、ちょっと気になります。機能別で色が違うなら問題はないのですが。

あと横を叩くとちょっと引っかかります。そのため、X68000のキートップに入れ換えました。この辺はいつでも戻せるので、しばらく様子を見ます。

テンキー部の長いキー(0、エンター、+)にはスタビライザ用かなと思う小さい穴が開いてますが、どれにもスタビライザは付いてませんでした。付いてたのは左のシフト、スペース、メインのエンターの3箇所のみでした。

ということでキースイッチを全部入れ替え、キートップも多くを交換した作業が、2013年1月1日にとりあえず完了しました。

しばらくこれで使って見ます。

改造に使った工具の一部。

ハンダごてはCXR-40、30Wのセラミックヒータです。曲げて付いてる端子をこて先でこじったりなど乱暴な使い方もしましたが、今のところ問題はないみたい。

下にあるのは左からハンダ吸い取り線、ハンダ、キートップ引き抜き工具。引き抜き工具と言っても針金を曲げて作ったいい加減なものですが、これでもあると無いとでは大違い。作って正解でした。

もしかして

作業が全て終わった後で気づいたのですが、キーの引っかかりというのは、もしかして軸とスイッチ筐体との間に大きめの摩擦があるからなのかな。

気になって「キーボード グリス」あたりでググってみたら、実行している方々が数多くおられました。スムースエイドという製品がよく使われていたようですが現在は入手困難。タミヤのセラグリス HGってのを使っている例がありました。プラスチックを痛めないものなら他のでも大丈夫なのかな。

キースイッチの交換自体は、キータッチが軽くなって叩きやすくなったなど良くなった面があるので、無駄ではなかったのですが。

蛇足

X68000のキーボードをPC/AT互換機で使えるようにするアダプタがあればなあ……、とか思ってしまったためにもう10年以上前の出来事を思い出してしまいました。「X68000キーボード コナン」あたりでググっていただければいいかなと思います。「モルフィーワン」と似たような事件がかつてあったのですが、モルフィーワンのことを何も知らない人の方が多いかも。

アダプタの代金の他、寄付もした(5000円だったかな)のですが……。製品がない状態で代金を払う(もしくは貰う)のがどれだけ恐いことか思い知らされました。

さらに改造

しばらくこれで使って見ますと書いた次の日、キースイッチを3箇所足してグリスを付けてみました。

タミヤのグリスを調べたところ、Fグリスというのも良さそうです。昨日見たセラグリスHGより量は少なめですが、こまめに使うわけでも無し、3gあれば十分かも(セラグリスHGは10g)。

ということで1月2日に初買い物に行ったのですが、セラグリスHGしかなかったのでそれを購入。

同じ塗るならって事で、昨日省いたテンキー部分のキースイッチも取り付けることにしました。X68030キーボードの使わないキーを外します。

X68030キーボードをバラしているところ。SMK-8851より多い8箇所のネジを外してカバーを外します。

基板には厚紙のようなシールド(?)がネジ2本で付いているので、これも外します。今回は端の3個だけ外すので、ネジは1個だけ外しました。これはカバーを止めているネジより小さく、0番の+ドライバーを使いました。他のネジは2番を使っています。

外したのは右上の3個……、の他にテンキーのマイナスキーも外してます。ここのキーの上に何か落ちたのか、キースイッチが壊れていたのでした……。

昨日使わなかったキースイッチ2個を足して計5個を新たに移植。キートップを全て外し、使われていないスタビライザの穴をテープでふさぎ、グリスを塗ります。

グリスと、塗るのに使った面相筆。

壊れたスイッチを見ると、LED穴がない方に金属板が見えます。Qwerters ClinicALPSメカニカルスイッチ(BigFoot) 概要のページ、一番下の写真にあるのと同じです。これが接点になるのかな。

反対側には金属板はありませんでした。バネもなかったので壊れたときに外れたのかもしれませんが、元々無かったのかもしれません。正常な奴はバラしてないので確認していないので何ともいえないのですが。

とりあえず、接点の金属板があるほうにグリスを塗るのはマズいかもなあと思い、軸の他の3面を塗っておきました。単純な作業ですが1時間以上かかってます。

テンキー部分の+とエンターキーにX68000のキートップを使おうかと思ったら、軸の向きが違うのではめ込めず。SMK-8851は、縦長のキーはキースイッチを90度傾けて基板に付けてますが、X68000キーボードはメインのエンターキーを除いて他のキーと同じ向きに付いていました。その辺がキートップの軸の形状にでているんでしょう。

そのためここはSMK-8851のを使っています。0キーは違和感が出ましたが、記号ならいいかなあという感じで。

一番左上は、昨日はかなというキートップを使っていましたが、CLRに変更しました。これは単に気分の問題。全角というキートップもあるんですが、X68000だと一番下にあるため形状が異なるので使いませんでした。

ESCや左Ctrlは普通の106(109)キーボードと位置が異なりますが、キーリマップソフト KeySwap(愛とゆりの部屋)で変更しています。

これで今年2回目の完成。グリスを塗ったことで多少感じが変わった……、かな? ダメならまたバラせばいいかということで、とりあえずこの記事はお終いにします。

文書更新履歴

2013年01月02日
「さらに改造」を追加。
2013年01月01日
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