はじめに
壊れたために7年ほど放置していたメカニカルキーボードを修理しました。その時の記録です。
2005年半ばからサンワサプライのSKB-SL06BKというキーボードを使っていました。2012年を過ぎてキーを叩いても入力されないという症状が発生し、だんだん酷くなってきたので、12月に買い換えることにしました。
最初にマイクロソフトのComfort Curve Keyboard 3000を購入しましたが、無変換・変換キーやBSキーが打ちにくいなど、どうも馴染めません。
次に通販でサンワサプライのSKB-109LUを購入しましたが、これもちょっとイマイチという感じです。ステップスカルプチャじゃないので、キートップに薄く切ったスタイロフォームを貼り付けたりといろいろ試してはいますが……。
12月28日、Windowsマシンで最初に使っていたキーボードのことを思い出しました。メーカー不明のSMK-8851(リンク先はサンワサプライのもの)というもので、1998年秋から2005年まで使っていました。メイドイン台湾のものです。飲み物をこぼしたのでお湯を流した後にドライヤーで乾かしていたとき、長い間かけ過ぎて一部のキーが戻らなくなってしまったため、引退させてたのです。
SMK-8851はメカニカルキーボード。キー一つ一つが独立したスイッチになっています。取り外せるなら、ダメになったキースイッチを他の使わないキーと交換すればいいのでは、ということに気づきました。コントローラや基板が壊れてたら私にはどうしようもできませんが、キースイッチの交換なら大丈夫かも。
使えないキーはO、L、;、:の4個。左右Win、App、ScrollRockキーあたりは使っていないので、交換するならこれらのキーか。
ということで早速バラして様子を見ることにしたのでした。
修理
バラしているところ。キーボードをひっくり返し、奥の真ん中と両端にあるネジ3箇所を外します。キーボードを元に戻し、手前を支点にしてカバーを持ち上げます。手前は7箇所の爪で引っかけているだけなので、ゆっくり持ち上げれば外れました。カーソルキーで少し引っかかりましたが。
右上のコネクタを抜きます。あとは基板を持ち上げれるだけで全体が外れました。
奥にあるのはSKB-109LU。
EndキーやDeleteキーとカーソルキーの間にあるIC。「E34521BE-98」でググってみましたが、日本語の記事はなかったみたい。
左下にある電解コンデンサの「Robicon」というのが猛烈に怪しい気がします……。
ダメになったキーのところにマジックで印を付け、ハンダごてとハンダ吸い取り線を使ってハンダをとります。
ハンダが綺麗にとれたら、基板の上にある黒い鉄板とキースイッチの間にマイナスドライバを入れてこじり、外しました。
外したキースイッチからキートップを外したところ。このキートップがキツくてなかなか外れません。壊れるんじゃないかと言うほど力を入れてようやく外しました。
キーを外して判ったのですが、キーが打てなくなったのは、熱で変形したキートップがキースイッチに当たり、打てなかったり戻らなくなったりしたのが理由のようです。引っかかりそうな箇所をカッターで削り、組み直してみると、普通にキーが動きます。
この後テスターで導通をはかったところ、スイッチとして問題無さそうでした。ということでスイッチ類は交換せず元に戻してハンダ付け。
組み直した後PCに繋いでテストをします。USBキーボードからPS/2接続に変わったせいか、ダイアログが出てきて再起動をせがまれました。この時点でもキー入力に支障はありませんでした。
このキーボードのコネクタはATコネクタですが、PS/2への変換コネクタが付属しているのでそれを使います。今のマザーボードだとPS/2コネクタはレガシーデバイスとされて付いてないものもありますが、私が今使っているF1A55-M LEはマウスとキーボードの2個分付いているので大丈夫です。
再起動後、テキストエディタを起動してキー入力テスト。
wとhキーが時々文字が出なかったのですが、何度かキーを叩いている内にうまく打てるようになりました。接点に酸化膜でもできていたんでしょうかと適当なことを書いてみる。
TABキーもおかしいのを発見。ところがこれは何度押しても直りません。ということでまたバラしてAppのキースイッチと取り替えました。ついでに左右のWinキースイッチも外し、106キーボードにしてしまいました。Winキーはまだ生きているので、袋に入れて保存しておきます。
TABキーに付いていたキースイッチをバラしたところです。このキーボードにはアルプス電気のスイッチが使われているもの……と勝手に思い込んでいたのですが、どこを見てもALPSの刻印がありません。もしかしてパチモンかも、と思い、中を見ることにしたのでした。
結果はと言うと、どう見てもパチモンです……。
ALPS製スイッチとパチものスイッチの中身は、以下のサイトを参考にしました。
- Qwerters Clinic
- キーボード分解 bigfoot系
- ALPSメカニカルスイッチ(BigFoot) 概要
- APC F-21(国内販売元:オウルテック)
- サイレンシウム工房
- ALPSキースイッチ関連資料
- mousefan
- Ortek 簡易Ⅱ
板バネの写真。APC F-21(国内販売元:オウルテック)にあるのは凸の形をしていますが、こちらのはほぼ長方形をしています。
再登板と問題
ということで12月28日から7年ぶりに再登板を果たしたパチモンスイッチ搭載のメカニカルキーボードSMK-8851。久々にガチャガチャとうるさい打鍵音を聞くことができました。今住んでいるアパートの両隣は誰も住んでいないはずなので、今のところは安心してキーをガチャガチャと叩きまくることができます。
キーを一個一個打つ時には判りませんでしたが、実際に文章を打ってみると、引っかかって入力しにくいキーがいくつかあるのに気づきました。キースイッチをバラして中を掃除すれば多少はマシになるかなあと思ってますが、とりあえずしばらくはこのまま使って見ることにします。
もしかして、キースイッチを新品に交換すればいいんじゃないか! と思ったものの、これと同じキースイッチって売られているんでしょうか。よく言われる茶軸や黒軸といったチェリー社のはどう見ても形状や端子の位置が違うので無理です(チェリー Cherry メカニカル押しボタンスイッチ MXキースイッチ Aタイプシリーズ)。
アルプス電気はもうメカニカルキーボード用のキースイッチを作ってないようなので、部品取り用に中古のキーボードでも見つけてこないとキースイッチは入手できません。
と、ここまで書いて気がつきました。X68000のキーボードってALPSスイッチだったような! X68030はまだ動くのでバラせませんが、壊れているX68000EXPERTのなら……。
安いメカニカルキーボード
修理した同じ日、上海問屋から4999円のメカニカルキーボードが発売されたとのニュースがありました。(エルミタージュ秋葉原 – 上海問屋、打鍵感の異なる4つの軸を選べるメカニカルキーボード「DN-82772」シリーズ発売:2012年12月28日プレスリリース)
商品説明の写真を見たのですが、黒軸や茶軸とは書いているものの、普通言われるCherry社のじゃないし、アルプスのでもない(刻印がないし、すでに生産してないので新品ではたぶん出ない)。いわゆる偽軸ってやつでしょうか。
実際に打ってみるとどんな感じなんでしょう。ちょっと気になります。以外と良かったりするかも。でも耐久性は劣りそうな気はします。
キー配列は日本語106キーとありますが、エンターキー周りがかなり違っているようです。BSキー隣の¥と、エンターキーの下隣の]が、最下段の右Altからアプリキーの箇所に配置されてるみたい。
文書更新履歴
- 2012年12月31日
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